[読書]パトリック・マグラア『失われた探険家』

失われた探険家 (奇想コレクション)

失われた探険家 (奇想コレクション)

とりあえず、無難なところで奇想コレクションから読み始めてみたが、あんまり無難じゃない短編集でした。
ポストモダン・ゴシック」というらしい、ゴシックホラー風のモダンな怪奇小説です。
扱うテーマとしては精神異常とか血、腐敗なんかが多いです。
とっても不健全。
どの短編も良かったですが、一番怖いのは「監視」でした。
妄想症を扱ったこの作品の怖さは無限大。細かい描写の中にいくらでも怖さを増幅するとっかかりみたいなのがあります。
それと、腐敗の描写力が秀逸。ほんと臭そう。
しかし、蝿が主人公の短編「コ惑の聖餐」ではその腐敗が美しいもののように描かれ、実際そう感じてしまうから不思議。
腐敗を美しく描くって凄いなあ。