山田風太郎『甲賀忍法帖』

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

昔から、私は忍者モノが好きだった。
特に白戸三平の忍者劇画が大好きで、今でも読み返す。
今回、忍者が出てくる小説も、山田風太郎も始めて読んだが、やっぱりすごい面白かった。
白戸三平もそうだが、こちらも一番の読みどころはやはり忍法勝負。
人間離れした忍者達が繰り出す異形の術の数々は最高にカッコイイ。シビレる。
さらに、その忍法同士のぶつかり合いは、組み合わせによって勝敗が大きく左右されるために単なる力の勝負になっておらず、最初から最後まで楽しめる。
この作品では10人対10人、都合20人の忍者達による凄絶極まる忍法合戦が行われているが、それぞれが個性と魅力溢れる20人の忍者の中で、一際異彩を放っている忍者がいる。
地虫十兵衛。
それが、彼の名である。
どういう忍者なのか、それを言ったら面白くないから言わないが、とにかく最高のナイスガイだ。
彼こそ、「地虫・オブ・ザ・イヤー」だ。
「抱かれたい地虫ナンバーワン」だ。
ひとつだけ言ってしまうと、地虫の出番は少ない。出てきてすぐ殺される。
だが、ほんの20ページ程度の中に彼が残した足跡は、今なお燦然と光り輝き私の心に深く刻み込まれ、永遠の金字塔を打ち立てた。
ありがとう、地虫。ありがとう。