スティーヴン・ミルハウザー『三つの小さな王国』

三つの小さな王国 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

三つの小さな王国 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

3つの中篇からなる作品集。
一つめの「J・フランクリン・ペインの小さな王国」は独自のこだわりを持つ漫画家が自らの集大成ともいえるアニメーション漫画作りに没頭していく話。
二つめの「王妃、土牢、小人」は中世風の城を舞台とした、王と王妃と辺境伯と、間諜の小人の話。
三つめの「展覧会のカタログ ― エドマンド・ムーラッシュ(一八一〇〜四六)の芸術」
はある芸術家の呪われた生涯を、彼の作品の目録を通じて描いた話。
いづれの作品にも言えることは、物語の中に常に二つの世界を有しているということ。
それらは、独立して存在しているようにも見られるが、物語が進行していく中で徐々に接近し合い、やがて溶け合う。
その瞬間の素晴らしさたるや、読書における最高級の楽しみと言っても過言ではないのであろうか。
やっぱり、ミルハウザーは面白いなあ。

・・・ちっと、大仰過ぎたか。まあいいや、ローダン読もうっと。