[読書]イタロ・カルヴィーノ『柔らかい月』

柔かい月 (河出文庫)

柔かい月 (河出文庫)

短編集。『レ・コスミコミケ』の続編である。
語り部は前作から引き続きqfwfq氏であるが、実際に登場するのは第一部までで、二部、三部と進んでいくうちにqfwfq氏の存在は希薄になっていく。
第一部は、ほとんど『レ・コスミコミケ』の延長線。
第二部は、細胞のお話。
第三部は、空間と時間のお話。
個人的には、第三部が一番面白かった。
狩人が、自分の放った矢がライオンに当たるか否かを、その一瞬で延々と考察する「ティ・ゼロ」
追跡者から車で逃亡する最中、渋滞に捕まった男が、自分と追跡者とその他の車について考察する「追跡」
破局直後の男が、恋人と寄りを戻す確実な方法を考察する「夜の運転者」
そして、エドモンド・ダンテスが牢獄から脱出する方法を考察する「モンテ・クリスト伯爵」
どれも、面白い。