スワヴォーミル・ムロージェク『所長』

所長―ムロージェク短篇集

所長―ムロージェク短篇集

ポーランド出身の亡命作家ムロージェクの短編集。
一篇がとても短いショートショートな感じだが、同じショートショートでも以前読んだバリー・ユアグローとは大分違った質感だった。
ユアグローは悪夢的とでも言おうか、夢の断片をそのまま切り出したような感じだったが、
ムロージェクはずっと現実的だ。
まあ、現実は現実でもやっぱり奇妙なのだが。
作品のほとんどが当時のポーランドの世相を反映していて、風刺であったり寓意であったりが込められている。
そして、それを独特のギャグセンスでくるんでいてとても面白い。
もちろん小説としての面白さもきっちりあるので、単なるポーランドジョークになってないところも凄い。