デイヴィッド・ヴォイナロヴィッチ『ナイフの刃先で』

ナイフの刃先で (Sexual resistance)

ナイフの刃先で (Sexual resistance)

アメリカのアーティストのエッセイ&カタログ&回顧録
期待していたような小説ではなかった。
実際読んでみると記憶や夢の断片のようで、その目まぐるしい場面の変化は、まるで人が今際に見るという走馬灯のようだ。
エイズという死を身近に体験し、そして自身にも間近に迫ってきている作者の目を通してアメリカを見ている。
そこに映っているのは、男娼、麻薬中毒者、浮浪者、盗人。
彼は、彷徨い、盗み、麻薬を打ち、ファックし、死んでいく。
残り僅かな命で作者が叫ぶのは、怒りでもあり絶望でもある。
これが、アメリカの一つの真実の姿であるのだろう。
なんつって、知らんけどね。