[読書]ウィル・セルフ『元気なぼくらの元気なおもちゃ』
- 作者: ウィル・セルフ,安原和見
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/05/20
- メディア: 単行本
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・・・というわけにも、いかないので。
この本は、イギリスの奇才ウィル・セルフの初の日本版短編集である。
のだが、正直、期待外れと言いますか、がっかりと言いますか。
奇想コレクションの中でもこれを一番楽しみにしていただけに、がっかり感もひとしおな感じですよ。
少なくとも、『コック&ブル』のような興奮や気色悪さを感じることはできないでしょう。
この短編集の中で最も悪趣味な作品は「愛情と共感」だが、それでも物足りない。
というか、オチがあざとすぎる気がする。
表題作は淡々とした中に展開の妙がじっくりと味わえる作品、だが、こういうのじゃないんだよなぁ〜、求めてるのは。
「リッツ・ホテルよりでっかいクラック」は『ディスコ・ビスケッツ』に入ってそうな感じの作品で、それ以上でも、それ以下でもないって感じだ・・・。
「ボルボ760ターボの設計上の欠陥について」はオチが読み易すぎ。
「ザ・ノンス・プライズ」に至ってはかなり普通の小説。
長いわりに、あんまり楽しめなかった。
良い話っぽいけどね。だから、求めてないんだって。
まあ、今回はセルフの作品の中でも読みやすく、わかりやすいものに比重を置いているらしいので、仕方ないか。
今後、もっと濃い、セルフ150%な短編集が出ることを期待している。